弁護士法人萩原総合法律事務所(茨城県筑西市・常総市・ひたちなか市) | 弁護士コラム:高年齢者雇用と同一労働同一賃金
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高年齢者雇用と同一労働同一賃金

高年齢者雇用と同一労働同一賃金

みなさま,こんにちは,代表の萩原です。

高年齢者雇用安定法の改正で,2021年4月1日から,65歳までの雇用確保(義務)に加え,65歳から70歳までの就業機会を確保するため,高年齢者就業確保措置として,70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入を検討している企業が多いと思います。

現在の65歳までの雇用確保措置として,継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは,当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度)を採用している企業が多いからです。

継続雇用制度を導入する企業では,嘱託社員や契約社員として1年の有期雇用契約を締結している場合が多いと思われます。

 

1年の有期雇用契約を締結した場合,パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者 の雇用管理の改善等に関する法律(以下,「法」といいます。)が適用されます。

法第8条では,不合理な待遇の禁止,法第9条では通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止が規定されています。

もし,単に,定年退職後の労働者をそれまでと同じ業務についてもらいながら,期間のみ1年の有期雇用とした場合では,法8条だけでなく,法9条も適用される可能性があります。

具体的には,基本給や賞与も支払うことになります。この点,長澤運輸事件は,定年後再雇用の従業員に対する賞与の不支給も不合理ではないとしていますが,これは再雇用後の賃金体系への配慮等の諸事情を考慮された上でのものですから,単に定年後再雇用の労働者に賞与は支給しなくてもよいと判断することはできません。

そのため,継続雇用制度を導入するにあたっては,期間を1年にするだけでなく,定年退職後の労働者に何を求めるのか明確にし,それをきちんと労働者に伝え,待遇面も変えていった方がいいということになります。

継続雇用制度は,働く側からすれば,定年後も働ける間は働きたいという希望があり,企業もすでに経験のある労働者に働いてもらうことのメリットがあります。

同一労働同一賃金の観点からすれば,年齢を問わず募集,採用される有期労働契約と定年後再雇用の場合の有期労働契約の場合では,考慮されるべきその他の事情に違いがあるので各種手当や賞与の支給の認められやすさが変わってくるのではないかとみています。

以上

監修者情報
代表弁護士萩原 慎二

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