【事案の概要】
Aさんは,コンビニの経営者であるところ,アルバイト店員のBさんが原付で出勤中に交通事故を起こし,被害者から使用者責任を追及され,請求金額3690万円の訴訟を提起されました。
【当事務所の対応】
通勤途上は,基本的に使用者の支配から離れ,従業員の自由領域内のあることから,通勤途上の事故について使用者が責任を負うことはないと解すべきであると裁判において主張しました。
具体的には,Aさんは,Bさんの原付出勤を知らなかった,原付以外(自転車でも)でも通勤可能な範囲にBさんは居住していた,交通費は支給していない,業務上,アルバイト店員の原付を利用した配達等は行っていなかった等,アルバイト店員の原付を日常的に業務に利用したり,容認,助長しているような事情は認められないと主張しました。
【結果】
相手方は訴えを取り下げたため,裁判は終了しました。
【ポイント】
使用者責任については,「事業の執行について」の解釈が問題になりますが,具体的には,会社側が,当該従業員の車両を利用して利益を上げていたかどうかが見られます。
もし,業務上,従業員の車両を使用している場合には,事前に対人,対物無制限の任意保険の加入を義務付けるなどの対策を取るべきです。